2018.01.16

Vol 21.学ぶ東京

DJをスタートするには?


さて、DJの歴史が分かったところで、次にどんな機材をチョイスすればDJが始められるのかが気になるところ。どの音楽ジャンルでDJをやるかによって、その機材も変わってくるようだ。まず簡単にイメージできるのは、アナログレコードをかけるターンテーブル2台の間にミキサーをセットしたスタイルではなかろうか。

SERATO DJを使用した基本的なセット SERATO DJを使用した基本的なセット

ここでは、アナログレコードを使用するスタイルではなく、現在のヒップホップのDJの主流である、楽曲をパソコンから取り込みミックスしていくPCDJスタイルのセットをご紹介。中でもこの“SERATO DJ”は、クラブの現場ではよく使われている。

PCDJの利点として、その日にかける曲をイメージし、何十枚も重たいレコードを持ち歩く必要がなく、パソコンに入っている何千、何万もの曲をパソコン一台あれば持ち歩けるところである。

ただコストとしては、ターンテーブルやミキサー、ヘッドフォン以外にパソコンの費用を考えると、ちょっとばかり割高感が否めない気がするのも確か。そんな方のために最近のPCDJは、上の動画にもあったような、コントローラ本体のみですべての操作を行えるタイプも販売されているので、初期予算が少ない方には、このような方法もおすすめする。

他にも四つ打ち系のDJに人気の、CDを使ってプレイする“CDJ”や、最もコストが抑えられるスマートフォン用のアプリなどでも楽しめるので、そのスタイルはどんどん多様化されているのだ。

DJに必要な資質とは


漠然とDJをやってみたいと思う気持ちはもちろん必要なのはよく分かるが、実際にどのような資質がDJには必要なのだろうか?その答えを探るべく今回は、「最新の流行と客の好みを嗅ぎ分け、最強のスキルを持ったブラックミュージック界の若きエリート」と言われる“DJ K27T(DJケント)”氏に話を伺った。

「もちろん音楽が好きなのは絶対だと思います。でなければ続きませんよね(笑)。僕の場合は小学生の時、『NOW』のようなコンピレーションから、ブラックミュージックに限らず、ロックやらポップスを放送の時間にかけた時のみんなのリアクションが心地よくて、それがきっかけでDJを始めました。

もう一つは、音楽を好きなと同時に、どれだけやりたいかという気持ちだと思います。月並みかもしれないけど、そこはすごく重要。その気持ちがあれば正直、機材はなんでもいいと思います。

僕の後輩でDJを始めた子がいるんですけど、パソコンは持っているけどターンテーブルを買うお金がないって言うんですね。で、どうしたかと言うと、DJの練習をしに僕の家に来るんです。それでひたすら機材をいじり倒して、疲れると寝る。そして、DJのセットが寝室にあるので、彼が目を覚ますと同時に自分も起こされるという(笑)。何が言いたいかと言うと、本当にやりたい気持ちがあれば、どうにかするんだなということ。その気持ちが伝わればこちらも協力しますしね。趣味でやっているだけならいいですけど、少なからず人前でプレイしたいなと思う気持ちがあるなら、迷惑など顧みずに突っ込んでいく大切さは今も昔も変わらないのかなと」。


少しでも興味があるならば、まずは始めてみることで自分のスタンスを確立していけばいいだけの話で、良くも悪くも誰でもDJになれる時代なのは間違いないのだ。もしかしたら明日のスターDJは以外と夢物語ではないのかもしれない。

DJ K27T:レコードの聖地・渋谷にある世界的なレコードショップ「マンハッタンレコード」で店長を務めた後、アパレル業界に進出。今ではメッセージ色豊かなグラフィックが人気のアパレルブランド「CLBUN(https://clbun.com/)」を展開しながら、東京を中心にDJとして活躍している。選曲の良さだけではない、オーディエンスを踊らせる彼のDJスタイルは、コアな音楽ファンをはじめ、各方面から高い評価を得ている。
https://www.mixcloud.com/K27T/stream/

(Text:Tatsuya Nakamura(R.G.C))

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