title_recipes

2016.01.16

vol.8 TOKYO TASTY
tokyowiseおとし飯長方文字

草食化が生んだオンナの悲劇


かつては「東京いい店やれる店」などという本がヒットを飛ばしたように、食事やレストランは男性の口説き道具であり、デートのイニシアチブはたいがい男性が握ってきた。

「何が食べたい? イタリアン? 和食? 」
「えー? どうしよう……。イタリアンかな♪」
「次どこ行く? 夜景がきれいなバー? それとも……」
「えー♡」

と、こんなやり取りをまるで初めてのように何度も繰り返してきたが、それももう過去の話しなのかもしれない。
デートで割り勘なんてざらに聞くだけでなく、何なら1軒目で「じゃあ今日は帰ろうか」なんてこともあるらしく、これはまさしく草食系男子の急増という生態系の変化が生んだ負の遺産だ。もちろん、ご飯だけのつもりの男性なら喜んで一人酒に繰り出すのだけど、ちょっと好みのタイプなら肉食女子はそんなことは許さない。いや、許してはいけないのだ。

では、デートの2軒目問題を女子はどのようにクリアすべきなのか。
いくら好きな相手とはいえ、女子からバーやホテルを提案するのはさすがに気が引ける。しかも、そこで割り勘なんて言い出された日には、冷めるのを通り越して、しばらく恋愛休眠に入ってしまう可能性が高い。そこでおすすめしたい肉食女子の新たなる狩猟方法が、「深夜おとし飯」だ。
食事どきから自宅に彼を招いて、甲斐甲斐しく肉じゃがやハンバーグを振る舞うという手段は昔からあるが、古典的でちょっとへヴィ。しかも、時間・手間・コストを考えると、いざコケた時や相手との親密さに欠ける段階ではパフォーマンスが見込めない。
では、「深夜おとし飯」とは一体どういうものなのか。

高コスパ&低リスクで 男性を口説く!


まず、通常通りのゴハンデートを済ませ、何なら2軒目をハシゴしても良いが、ほろ酔い程度の状態で別れ際にこう切り出すのだ。

「うちでちょっとつまみながら飲みなおす?」

これにNOという男性はほぼいない。エロ過ぎずエロく、お金もかからず、軽く小腹も空いてきた頃合いなら、多少お酒が入っていたらどんな草食系だろうがこのお誘いは断る理由がない。もし、これで「明日朝早いから……」なんて断る男性がいたら、それは相当に脈はなく、その場をもって終了とするべきで、こちらとしてもそんなに痛手も追わなくて済むというものだ。

では、「深夜おとし飯」には何を用意するべきか。
まず、押さえるべきははこの5つ。

・とにかく出すまでに手間がかからないもの
・手作り感や味付けのセンスを感じられる
・普段から自炊している気配を醸し出す
・デパートや高級スーパー感を出さない
・彼の好き嫌いを把握しておく

これだけ聞くと一体何を作ったら良いのかと思うかもしれないが、これさえ押さえておけば、逆にメニューは何だってOKなのだ。地味で、家庭的、手際が良い、この3本の矢こそが、男心を意外とくすぐるからだ。前途の家ゴハンともなると、最低でも3~4品は用意することとなり、結構な手間と労力がかかる。しかし、「深夜おとし飯」は1品にもかかわらず、なかなかの破壊力があるというのが大きなポイントだ。

3大カンタン”おとし飯”

– Menu#1: ポテサラ –


個人的なリサーチ&実践結果でいうと、まずはポテサラ。作り置きもできて簡単な上に、男性ウケがとにかくバツグン。お酒もビールからウィスキー、ワイン、焼酎とオールマイティに相性が良く、何より世代を選ばない。コッテリ好きの若い子ならソテーした角切りベーコンやパルミジャーノチーズを混ぜてみたり、オジサマ向けならしば漬けやミョウガなどを入れたあっさりアレンジも結構ウケる。

– Menu#2: 漬け物 –


また、自家製の漬け物も手軽に高評価を狙える一品。最強なのはぬか漬けだが、ぬか床を維持し続けるのはなかなかハードルが高い。葉物や根菜など季節の野菜と出汁を取った昆布を調味料で漬けるだけで、市販の漬け物と比較しても数倍の評価を得られるのだ。ポイントとしては、柚子や唐辛子などでアクセントをつけると、何故だか料理上手感が演出できてしまう。

– Menu#3: 油揚げ –


ささっと調理するならマルチプレイヤー、油揚げは欠かせない。冷凍保存ができる上に、軽く焼いて炒めたジャコと薬味を乗せてもよし、チーズや納豆など、何を挟んでも失敗しようがない優れものだ。

総論


どれをとっても、こんな料理でいいのかと考えてしまうものばかりが、実際に男性たちの意見を聞いてみると、女子の想像以上に地味な料理を欲している。意外なところでいうと、味噌汁、冷ややっこ、急須で淹れた日本茶なんていう意見もあった。
「深夜おとし飯」は料理というほどハードルを上げず確実にポイントを獲れる、恋愛初期段階の必勝法。騙されたと思って実践してみて欲しい。ただし、その後に持ち込むのならば、勝負パンツはお忘れなく。下着に限っては、地味さはご無用とのこと。

(Text:Yumi Sato
(Illustration: 大沢 純子)

TOKYOWISE SOCIAL TOKYOWISE SOCIAL