映画『不機嫌なママにメルシィ!』
監督・脚本・主演、ギヨーム・ガリエンヌに
インタビュー(3)

2014.10.02

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──今回はあなた自身(ギヨーム)とお母さん(ママ)の2役を演じられたわけですが、どうやって演じわけていたのでしょう。 「ややこしくなかった?」ってよく聞かれるんだけど、ぼく自身はまったく問題なかった。午前中に母親をやって、午後はギヨームをやってという感じで演じわけていたからね。でも周りのスタッフは戸惑っていたみたい。特に母親を演じているときはそう。100%母親になりきっていないうちは、スタッフの前に顔も出さなかったからね。ただの扮装だって思ってほしくなかったんだ。ぼく自身は扮装しているつもりは微塵もなくて、母親を全身で体現していたわけだから。

とにかく女の子のように振る舞おうとしていた子ども時代、最大のモデルにしてお手本になったのは彼女だった。次第におなじ声、おなじ振る舞い、おなじ仕草を身につけていったよ。なよなよしていたわけじゃなくて、彼女になりきっていたんだ。それがぼくにとって最初の演技であり、それから15年にわたってリハーサルを繰り返してきたわけだ。

でもあるときクロードに言われたよ。「みんなの戸惑いが理解できる?」って。「午前中、母親になりきっているときは、監督として『ああしろこうしろ』って独裁的に指示を出すのに、午後になったら、突然15歳ぐらいのナイーブな少年になってあらわれるのよ」。それを聞いたときは、たしかにと思ったね(笑)。
──映画を観てお母さんはどんなことをおっしゃられていましたか? 舞台より映画の方がグッときたって。昔から彼女とぼくはユーモアのセンスを共有しているんだ。眼差しとか細かい仕草、突飛な表現まで、自分とそっくりだって笑い転げていたよ。
──自分自身をさらけ出すことに不安はなかったですか? なかったね。『イヴ・サンローラン』でピエール・ベルジェを演じたり、コメディ・フランセーズで“ル・ダンドン(=間抜けな男)”を演じたときの方が、もっと自分自身をさらけ出していたと思うよ。だけどできあがった映画を観るのは、ちょっと奇妙な体験だった。まれなことだけど、もう一度スクリーンのなかで自分の人生を生きているように感じるんだ。でもまあ、それも悪くないね。ぼくはぼく自身の物語を語るために存在しているんだから。
Photographs (interview) by JAMANDFIX
Text by TANAKA Junko (OPENERS)

『不機嫌なママにメルシィ!』
9月27日(土)より、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
監督・脚本・主演|ギヨーム・ガリエンヌ
出演|アンドレ・マルコン、フランソワーズ・ファビアン、ダイアン・クルーガー、レダ・カテブほか
配給|セテラ・インターナショナル
2013年/フランス、ベルギー/87分/原題『Les garçons et Guillaume, à table!』
http://www.cetera.co.jp/merci/

© 2013 LGM FILMS, RECTANGLE PRODUCTIONS, DON’T BE SHY PRODUCTIONS, GAUMONT, FRANCE 3 CINEMA, NEXUS FACTORY AND UFILM

OPENERSより
MOVIE|フランス全土を笑いと涙で包み込んだ感動作
http://openers.jp/culture/tips_movie/news_merci_48413.html

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