Editor’s Eye

2017.12.04

Editor’s Eye

現代美術家 杉本博司氏の集大成
小田原文化財団 江之浦測候所が開館

TOKYOWISEでもその動向を追ってきた「小田原文化財団 江之浦測候所」が、2017年10月9日、構想から20年以上の歳月を経て遂に完成。その全貌が明らかになった。

神奈川県は小田原市に位置し、目の前に広がる相模湾を見渡せるこの場所は、杉本氏が考える“意識”の原点でもあり“心の故郷”だと言う。その真意は、幼少期に家族と共に旧東海道線を走る湘南電車から見たこの海景が、氏の人としての最初の記憶であり自らの存在を認識した場所だからなのだ。

まず我々を待ち構えるのは、室町時代に鎌倉の臨済宗建長寺派・明月院の正門として建てられた「明月門」。その堂々とした構えは、これから始まるアートショーのスタートに相応しい存在感を示している。

明月門 ©小田原文化財団/Odawara Art Foundation その門を抜け石舞台を過ぎると、目の前に広がる大海原を背にし、光学硝子を一面に敷き詰めた「光学硝子舞台」と「古代ローマの円形劇場写し」が目に飛び込んでくる。冬至の朝、陽光が硝子の小口を照らすことで、年にたった一度だけ上演される光の演劇とも言える特別な時間は圧巻であろう。

冬至光遥拝隧道と光学硝子舞台 Next>夏至の光に向かって建つ100mギャラリー

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