冬の足音が近づく11月、お出かけの締めは映画館で温かいドリンクでも飲もう。
季節の変わり目、しっぽりと余韻に浸れる新作映画をPick Upした。
『ぼくらの居場所』
劇場公開日:2025年11月7日
多文化が交錯するカナダ・トロント東部の街スカーバローを舞台に、過酷な環境で生きる3人の子どもたちが、地域の教育センターで小さな希望と絆を見出していく姿を描く。暴力や貧困、家庭の崩壊といった現実の中でも、寄り添い合いながら前を向く彼らの姿が胸を打つ。実体験をもとにした原作を著者キャサリン・エルナンデス自ら脚本化。ドキュメンタリー出身の監督コンビがリアリティあふれる筆致で映し出した、静かな感動のカナダ映画。
2021年製作/138分/G/カナダ
原題または英題:Scarborough
配給:カルチュアルライフ
劇場公開日:2025年11月7日
公式サイト:https://culturallife.co.jp/bokuranoibasho/
『ブルーボーイ事件』
劇場公開日:2025年11月14日
1960年代の東京で実際に起きた「ブルーボーイ事件」をもとに、性別適合手術の違法性を問う裁判を描く社会派ドラマ。
“ブルーボーイ”とは、男性として生まれながらも女性として生きることを選び、夜の街で働いていた人々の呼称。当時、彼女たちは売春防止法の枠外に置かれ、存在そのものが社会の矛盾を突きつけていた。
物語は、かつて性別適合手術を受けた女性サチが、手術を行った医師の裁判で過去と向き合う姿を軸に展開する。主演の中川未悠は、トランスジェンダー女性を対象に行われたオーディションから抜擢。監督は「フタリノセカイ」の飯塚花笑。
トランスジェンダーの視点から、日本社会が見落としてきた“生きる権利”と“愛する自由”を静かに問いかける。
2025年製作/106分/G/日本
配給:日活、KDDI
劇場公開日:2025年11月14日
公式サイト:https://blueboy-movie.jp
『はだしのゲンはまだ怒っている』
劇場公開日:2025年11月15日
漫画家・中沢啓治の被爆体験をもとに生まれ、反戦と反核の象徴として世界で読み継がれてきた「はだしのゲン」。少年ゲンが戦争の惨禍を生き抜く姿は、半世紀を経た今もなお多くの人々の心を揺さぶり続けている。
一方で近年は、「描写が過激」「歴史認識に偏りがある」として学校図書館での閲覧制限を求める声や、広島市の平和教材からの削除など、賛否を呼ぶ動きも起きている。
本作は、作品をめぐる議論とその背景を辿りながら、「なぜ『はだしのゲン』は今も人々を熱くさせるのか」を問い直すドキュメンタリー。監督は込山正徳。
2025年製作/90分/G/日本
配給:アギィ
劇場公開日:2025年11月15日
公式サイト:https://gen-angry.jp
『マーク・アントニー』
劇場公開日:2025年11月21日
過去とつながる“電話”を手に入れた青年が、運命を変えようとして大混乱を巻き起こす――。インド発のSFアクションが、コミカルかつスタイリッシュに時空のいたずらを描く。1975年に発明された「過去と話せる電話」が、20年後にギャングの息子マークの手に渡ったことから、家族、仲間、そして裏社会までも巻き込んだ騒動が勃発する。主演のビシャールがマークとその父アントニーを一人二役で熱演し、「ジガルタンダ・ダブルX」のS・J・スーリヤーが共演。ユーモアとカオスが炸裂する、異色のタイムトラベル・エンターテインメント。
2023年製作/149分/G/インド
原題または英題:Mark Antony
配給:SPACEBOX
劇場公開日:2025年11月21日
公式サイト:https://spaceboxjapan.jp/markantony/
『兄を持ち運べるサイズに』
劇場公開日:2025年11月28日
「湯を沸かすほどの熱い愛」「浅田家!」の中野量太監督が、村井理子の実体験を綴ったノンフィクション『兄の終い』を原作に描く家族ドラマ。
絶縁していた兄の突然の死を知らされた妹・理子(柴咲コウ)は、兄の“後始末”のため東北へ。そこで出会った兄の元妻・加奈子(満島ひかり)、娘・満里奈、息子・良一とともに、散らかった部屋を片づけながら、兄の知らなかった一面に触れていく。怒って、笑って、少し泣いて――もう一度、家族を想いなおす4人のてんてこまいな4日間が始まる。兄をオダギリジョーが演じ、ユーモアと温もりを織り交ぜながら“家族とは何か”を問いかける。
2025年製作/127分/G/日本
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
劇場公開日:2025年11月28日
公式サイト:https://www.culture-pub.jp/ani-movie/