2017.07.25

Vol.19 渋い東京

築地だけじゃない!水産物専門の“足立市場”ディープな朝酒放浪記

東京の台所、築地の移転問題が都政を揺るがす昨今。ニュースで垣間見る豊洲の新市場は、無機質で味気なく、私たちの日常生活と密着したものであるようには感じられない。そんなことを知ってか、知らずか、築地には国内外からの観光客が押し寄せ、未だかつてない活況を呈しており、これまた日常とはかけ離れたものになりつつある。
しかし、東京の市場は築地だけではない。都内には11の中央卸売市場と、12の地方卸売市場が存在し、それぞれ魚、肉、野菜、果物、花などを扱っている。これらの市場の中でも、唯一、水産物専門の中央卸売市場として機能しているのが足立市場だ。室町時代から川魚や青物、米穀などを扱ってきたといわれ、江戸時代には神田・駒込と並ぶ江戸3大青物市場の一つに数えられ、幕府の御用市場でもあった。しかし、現在では青果部門を北足立市場に移転させ、水産物を中心に扱う市場となった。
そんな足立市場では、一般市民にも市場を開放し、仲卸業者から新鮮な魚や加工品をリーズナブルに購入できる、「足立市場の日」というイベントを年に5~6回開催している。これが、地元じゃかなり盛り上がっていると聞き、潜入取材を敢行した。

コンパクトさがイイ感じ


京成本線の千住大橋駅から歩くこと5分。小雨降るなか、市場には朝9時にもかかわらず、なかなかの賑わいをみせている。足立市場の敷地面積は約4万2千平方メートルと、中央卸売市場としてはかなりコンパクトなため、ぶらり買い物するのにも丁度良いサイズ感だ。また、小さいながら、まぐろの競り場もあり、早朝5時半頃には競りが行われる日もあるようだが、ここは一般見学NGとのこと。お目当ての仲卸売り場には、大小50軒程度の仲卸業者が軒を連ねている。通常、このエリアは小売業者や飲食店などの仕入れ業者のみ購入できるとされているが、仲卸業者によっては小さい単位での買い物も対応してくれるという噂も。とはいえ、公にはこのイベントでしか買えないため、この日は大手を振っていこうではないか。

購買欲を刺激する活気と安さ


売り場の中でも最も行列ができているのが、やはりマグロ。マグロは専門の仲卸業者も多く、そこかしこでマグロを解体していく光景が見られ、物欲を刺激してくれる。冊というよりは分厚く切り分けられた赤身のブロックで1000円程度~と、値段はかなり手頃だ。その他にも、アジやタイ、イカやタコなどの大衆魚から見たこともないような珍しい魚まで、鮮魚も豊富に扱う。足立市場での取り扱いは、まぐろ類が約8%、鮮魚が約30%、残りの62%は冷凍品や塩干加工品などのようで、干物類もかなりリーズナブル。色々目移りするなか、丸魚のノドグロが一尾500円と破格だったため2尾発注。調理法のおすすめを聞くと、煮つけが良いという。処理の仕方などを訪ねると、うろこ取りから肝の処理まで行ってくれ(不要な部分を除き、美味い部分はちゃんと袋に入れてくれた!)、持ち歩く旨を伝えると、しっかりと氷を入れてくれるという手厚いサービスも(人を選ぶのも大事)。

<この日の戦利品>
・ノドグロ(2尾) 1,000円
・煮タコ(0.42kg) 672円
・生クラゲ 350円
・アマダイ一夜干し(1尾) 800円
・ほっけの干物(3尾) 500円

別棟の物販棟では青果や精肉、米、乾物、お茶、調味料などを販売する店が並び、特に業務用サイズの調味料などがリーズナブルで、ファミリー層にはうってつけだ。また、このイベントの日には、買い物時にもらう領収書の合計金額2,000円ごとに、500円~2,000円の買物券が当たる抽選会も行われており、これに長蛇の列ができていて、ちょっとしたお祭り気分を味わえる一興だ。

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